○救急隊員病院内実習等の生涯教育要綱
平成16年3月1日
消防本部訓令第9号
T 目的・目標
救急救命士として救急医療知識、技術を維持、レベルアップし、より質の高いプレホスピタルケアを提供することを目的に教育研修を実施し、下記4項目の修得を目標とする。
1 コ・メディカルスタッフとしての自覚
2 高いレベルの医学知識修得
3 世界的水準の医療技術
4 科学的思考力の涵養
U 生涯教育項目
1 救急救命士の病院内実習
2 各種研修、学会等への参加
3 救急救命士による症例検討会
4 U課程救急隊員の教育研修
5 その他
V 病院内実習
救急救命士資格取得後の就業前実習と生涯教育の一つとして就業後再実習に分ける。
V―1 就業前実習
救急救命士資格を取得した後、救急業務に就業する前に実施する。
1 基本的目標
特定行為を含む救急救命処置及びその他の処置の習熟と、医療関係者との協力関係の構築を目標とする。
(1) 指導医の指導下において処置、介助等を実施する。
(2) 救急室での処置に参加する。
(3) 救急救命処置、特に特定行為に習熟する。
(4) 手術室における手術見学をとおして解剖生理に習熟する。
(5) 病棟における処置に参加する。
(6) 看護師の指導下に看護及び介護を行う。
2 実習期間及び実習医療機関
救急救命士の病院実習ガイドラインに基づき総実習時間は160時間以上とし、現在の救急活動における搬送医療機関状況を考慮し、管内医療機関において実習を実施する。
3 実習項目
「救急救命士の病院実習ガイドライン」による(別表第1)
4 実習の評価
救急救命士の病院実習ガイドラインによる評価表(別表第2)にて指導医及び指導看護師の評価を受ける。
5 指導医及び指導看護師
各医療機関において、一貫した指導が受けられるように指導医師及び指導看護師を選任依頼する。
6 患者に対するインフォームドコンセント
医療におけるインフォームドコンセントは今や常識であり、救急救命士の実習であっても以下による、インフォームドコンセントを行い、同意を得る。
(1) インフォームドコンセントの内容
患者に侵襲及び精神的苦痛を与えるおそれのある医療処置、見学の実施前に指導医師、指導看護師同伴の上同意を得る。
(2) インフォームドコンセントの方法
実習病院において救急救命士が実習をしている旨を掲示する。
(掲示内容:当病院では、地域救急医療向上のため救急救命士、救急隊員の病院内実習を実施しています。皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。)
7 実習医療機関の承認
救急救命士の就業前実習の目的と方法を明確にし、病院の倫理委員会等において承認を得る。
8 実習における事故時の対応
(1) 病院内における研修内容(応急処置等)に係る事故が発生した場合の事後処理に関しては、実習医療機関と消防本部が協力してこれの解決に当たる。
(2) 通勤途上における交通事故等の事故処理に関しては、実習生本人と消防本部がこれの解決に当たる。
9 その他
その他必要事項、検討事項はその都度、実習病院と消防本部において協議し決定する。
V―2 就業後実習
習得した知識、技術の検証と向上、更に医療機関との連携を深めるために、一定期間ごとに実施する。
1 基本的目標
(1) 救急室における救急診療、処置の介助を行う。
(2) 救急患者の病態の理解を深める。
(3) 救急活動の中で生じた個々の問題を解決する。
(4) 自己の知識、技術の再確認と新しい医療知識、技術を習得する。
(5) 自己学習の重要性を認識する。
2 実習期間と実習医療機関
実習期間は「救急救命士の病院内実習ガイドライン」による2年間で128時間以上とし、年間を通して管内医療機関の救急外来において実施する。
3 実習項目
(1) 各種疾患についての医学的判断と処置に習熟する。
(2) 特定行為について理解を深める。
(3) 多数来院する患者によりPtトリアージを身につける。
(4) 医師の指示により活動する要領を身につけ、メディカルコントロールを理解する。
(5) 看護師その他の医療スタッフとの共同活動要領を身につける。
(6) 医療実習をとおしてコ・メディカルスタッフの一員としての自覚を認識する。
4 実習の評価
各自実習についてレポートを提出し、救急救命士において検討、評価する。
5 指導医師及び指導看護師
原則として指導医師、指導看護師を要請するが、実習日の責任者の指示によるものとする。
6〜9については就業前実習と同じ
W 各種研修、学会等への参加
管内病院における病院内研修をはじめ、各種研修、学会等に積極的に参加し、その研修結果についても全職員に周知・還元する。
X 救急救命士による救急活動症例検討会
メディカルコントロールの観点から、自己の活動の評価を受けることに慣れなければならない。医療職としての救急医療活動を実施するために、自己評価の機会として救急活動症例検討会を実施する。
1 実施回数
管内の救急件数及び検討症例数を考慮し、3箇月に1回程度で、年4回とする。
2 場所 中署、北署で交互に実施する
3 実施月 6、9、12、3月の最終水曜日
4 検討症例 各署所1症例を事前に全救急救命士に提出し、各症例における観察・判断・処置・評価が医学的根拠に基づき行われているか検討する。
(1) 特定行為実施症例及びCPA症例
(2) 多発外傷症例
(3) 多数傷病者発生症例
(4) 急性腹症、心疾患、脳血管障害、不整脈症例
(5) その他特殊症例
5 参加者
(1) 救急救命士、救急救命士候補者、希望する一般救急隊員
(2) アドバイザーとして医師、看護師等の出席が得られる場合は依頼する。
Y U課程・標準課程救急隊員の教育研修
救急救命士と共に活動する救急U課程・標準課程を修了した隊員(以下救急隊員という)の救急活動能力向上のために、下記により救急隊員の教育研修を実施する。
1 本部内の「救急隊員研修」における事前、事後教育と評価
年4回定期的に実施される「救急隊員研修」をより効果的なものにするために救急救命士により事前教育と事後教育を実施し、その習得状況を評価するために効果測定を実施する。
(1) 事前教育
研修内容に関する基礎教育を救急救命士により実施する。
a 教育時間 当直時等において2〜3時間
b 場所 各署所において
c 教育内容 研修に関する基礎知識、解剖生理
(2) 事後教育
a 教育時間 当直時等において1〜2時間
b 場所 各署所において
c 教育内容 研修内容の復習
(3) 効果測定(いずれか1つ)
a ミニテスト(20〜30問程度)
b レポートの提出
c 実技評価
2 救急処置技術研修
郡上消防救急隊における救急処置の標準化を図り、平等な救急サービスが提供できるように、下記の処置技術について研修を実施し、評価を行うとともに必要に応じ再研修を実施する。
(1) 研修回数 各項目とも年1回2時間程度
(2) 研修場所 各署において
(3) 研修項目
a CPR手技―ガイドラインに基づいた手技と基礎知識
b 特定行為―救急救命処置の迅速性を向上させ、事故防止を図るため手順を習得させる。
c 9項目処置―救急隊員の義務的処置について習熟を図る。
d 外傷処置―鈍的外傷処置について習熟し、外傷ゴールデンアワー内での医師への引継ぎを目指す。
(4) 評価(効果測定)
別紙3〜5の効果測定評価表により、救急救命士(所属署所以外の救急救命士)による効果測定を実施する。
3 病院内実習
病院スタッフとのコラボレーションを理解するために救急隊員の病院内実習を1年に1日間以上実施する。
(1) 実施医療機関
管轄地域又は居住地の主要医療機関(救急救命士の実習病院)
(2) 実施要領については、救急救命士就業後実習に準拠する。
Z その他
A 特定行為手技訓練
特定行為の手技訓練は生体に実施することが困難であるが、常に一定のレベルを維持する必要があるため定期的に救急救命士による特定行為等手技訓練を実施する。
1 除細動
Vf波形の確認から、指示要請、放電、効果確認の一連の流れについて確認する。
2 器具による気道確保
LM、ETC、WBについて訓練人形を用いて手技の標準化、確認を実施する。
3 静脈路確保
医師立会い若しくは許可により救急救命士同士で訓練を実施し、手技練度を上げるとともに、静脈路確保資器材の更新、廃棄を実施する。
B 合同シミュレーション
年1回程度、救急救命士を中心とした救急隊によるシミュレーション訓練を実施し、救急活動の適正化を図り医学的検証をする。
附 則
この訓令は、平成16年3月1日から施行する。

別表第1

実習項目

A:指導者の指導・監視のもとに実施が許容されるもの

B:指導者が介助する場合、実施が許容されるもの

C:指導者の指導・監督のもとに、医行為を行う者を介助するもの

D:見学にとどめるもの

 

就業前

実習項目

備考

1

A

バイタルサインの観察(血圧、脈拍、呼吸数など)

 

2

身体所見の観察(視診、触診、聴診など)

 

3

モニターの装着(心電図、パルスオキシメーターなど)

 

4

酸素投与

 

5

バッグマスク法

 

6

食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク

 

7

気道内吸引

 

8

喉頭鏡の使用

 

9

胸骨圧迫心マッサージ

 

10

抹消静脈路確保

 

11

点滴ラインの準備

 

12

除細動

 

13

ナーシングケア(清拭、体位変換など)

 

14

精神科領域の処置(厚生省通知参照)

 

15

小児科領域の処置(厚生省通知参照)

 

16

産婦人科領域の処置(厚生省通知参照)

 

17

C

輸液

 

18

輸血

 

19

気管内挿管

 

20

創傷の処置

 

21

骨折の処置

 

22

胃チューブ挿入

 

23

緊急薬剤の使用

 

24

D

循環補助(ペースメーカー、IABP)

 

25

胸腔ドレナージ

 

26

人工呼吸器の使用

 

27

開胸心マッサージ

 

28

中心静脈確保

 

別表第2

病院実習評価表(医師、看護師)

A:指導者の指導・監視のもとに実施が許容されるもの

B:指導者が介助する場合、実施が許容されるもの

C:指導者の指導・監督のもとに、医行為を行う者を介助するもの

D:見学にとどめるもの

項目

実習項目

実施数

自己評価

指導者評価

A

バイタルサインの観察(血圧、脈拍、呼吸数など)

 

 

 

身体所見の観察(視診、触診、聴診など)

 

 

 

モニターの装置(心電図、パルスオキシメーターなど)

 

 

 

酸素投与

 

 

 

バッグマスク法

 

 

 

食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク

 

 

 

気道内吸引

 

 

 

喉頭鏡の使用

 

 

 

胸骨圧迫心マッサージ

 

 

 

抹消静脈路確保

 

 

 

点滴ラインの準備

 

 

 

除細動

 

 

 

ナーシングケア(清拭、体位変換など)

 

 

 

精神科領域の処置(厚生省通知参照)

 

 

 

小児科領域の処置(厚生省通知参照)

 

 

 

産婦人科領域の処置(厚生省通知参照)

 

 

 

C

気管内挿管

 

 

 

輸液

 

 

 

輸血

 

 

 

緊急薬剤の使用

 

 

 

創傷の処置

 

 

 

骨折の処置

 

 

 

胃チューブ挿入

 

 

 

D

人工呼吸器の使用

 

 

 

開胸心マッサージ

 

 

 

中心静脈確保

 

 

 

循環補助(ペースメーカー、IABP)

 

 

 

胸腔ドレナージ

 

 

 

自己評価、指導者評価は次の3段階により評価する

年  月  日

  3点―自分でできる(理解している)

  2点―援助があればできる

  1点―できない(理解していない)

実習管理責任者

印 

別表第3

CPR手技効果測定表

所属中北南 氏名       

区分

項目

細項目

配点

得点

評価

体外式心マッサージ

圧迫リズム

100回/分、1:1シンクロ

10

 

 

圧迫深さ

3.5〜5cm、バラツキ

10

 

 

圧迫位置

1/3、手掌基部、指組左右

10

 

 

全体的手技

 

20

 

 

バッグマスク人工呼吸

バッグもみ

6〜7ml/kg 1.5〜2秒

10

 

 

マスクフィット

片手、両手、左右

10

 

 

下顎挙上

指位置、挙上

10

 

 

観察

聴診、視診、触診等

20

 

 

指示、IC

隊員指示、関係者への説明

20

 

 

全体的手技

 

20

 

 

総合点、総合評価

150

 

 

総合評価 A B C D

  A………………良好(90%以上)

  B………………概ね良好(70%〜90%)

  C………………訓練を要する(50%〜70%)

  D………………再研修を要する(50%未満)

別表第4

9項目効果測定表

9項目

注意点

配点

点数

評価

血圧測定

 

聴診(上肢、下肢)

触診

測定方法

10

10

10

 

 

聴診

呼吸音

心音

10

10

 

 

SPO2測定

SPP2:SaO2

測定法

10

10

 

 

喉頭鏡

持ち方

操作法

10

10

 

 

マギール鉗子

 

持ち方

操作法

渡し方

10

10

10

 

 

経鼻エアーウェイ

挿入法

挿入位置

10

10

 

 

心電図モニター

 

心停止波形判読

危機的不整脈(心停止波形除く)

誘導法

20

20

10

 

 

ショックパンツ

 

装着法

適応

禁忌

10

10

10

 

 

自動心マッサージ器

 

組立て法

使用法

禁忌

10

10

10

 

 

総合点、総合評価

250

 

 

 評価

  A:良好(90%以上)

  B:概ね良好(70%〜90%)

  C:訓練を要する(50%〜70%)

  D:再研修を要する(50%未満)

別表第5

標準的外傷の評価と処置(PTEC)効果測定表

(Prehospital Trauma Evaluation and Care)

大項目

小項目

注意点

配点

点数

評価

状況評価

感染防止

手袋、マスク、メガネ、服

10

 

 

二次災害防止

安全確保

10

応援要請

人数把握

10

事故状況評価

11項目

10

初期評価

頸椎保護

neck collar装着

10

 

 

意識気道評価

開眼、発声、雑音

10

呼吸評価

look、feel、listen

10

循環評価

脈、皮膚、外出血

10

外出血評価

活動性出血

10

酸素投与

高濃度マスク10l/分

10

全身観察

頭頸部

外傷、頸静脈怒張、気管偏位

10

 

 

胸部

外傷、気胸、開放創、フレイル

10

腹部

外傷、疼痛、膨満

10

骨盤部

外傷、DIP

10

大腿部

外傷、両大腿骨折

10

四肢麻痺

 

10

背部

外傷、圧痛

10

全身固定

傷者移動

指示、移動要領

30

 

 

全身固定要領

固定状況

20

車内活動

病院選定、連絡

M 受傷機転

10

 

 

I 外傷、部位

10

S 状態、L&Gの理由

10

T 処置、搬送時間

10

その他

VS測定指示、保温、出発

10

 

 

継続観察

CABC

意識、気道、呼吸、循環

20

 

 

VS

HR、S、BP、ECG

10

頸〜腹

観察、5点聴診

20

傷、処置

外傷観察、処置評価

10

GUMBA

原因、主訴、最終食事、病歴、アレルギー

10

 

 

追加情報連絡

CABCVS頸〜腹傷処置等

10

 

 

総合点、総合評価

350

 

 

 評価

  A:良好(90%以上)       C:訓練を要する(50%〜70%)

  B:おおむね良好(70%〜90%)  D:再研修を要する(50%未満)